宇宙の大きさはどれくらい?ハッブル定数が編み出した結果とは

宇宙に関する議論の歴史は長く、1920年にはワシントンDCで、アメリカの天文学者ハーロー・シャプレーと科学者ヒーバー・カーティスが「天の川銀河は全体で30万光年である」「いやいや、天の川はわずか30,000光年である」と議論を交わしました。ちなみにどちらの主張も間違い。現代の研究により、天の川銀河は100,000から150,000光年と言われています。今回は、知るとちょっと宇宙が近くなる、宇宙の大きさについて見ていきましょう。

宇宙の大きさはどれくらい?

宇宙の大きさは、科学者の間ではとても大きなテーマ。現代科学では、宇宙は150億年近く前のものであり、ビッグバン以来拡大し続けていることが分かっています。しかし、現在の正確なサイズは分かっておらず、どれくらいの速度で拡大しているのかも明確ではありません。そんな中、科学者の間で宇宙の大きさを測るのに用いられているのが「ハッブル定数」です。

ハッブル定数とは、銀河の後退速度と距離のあいだの比例関係を表す比例定数のことで、宇宙の膨張率を測ることができます。シカゴ大学の天体物理学者であるウェンディフリードマンも、この研究に従事した研究者のひとりです。

宇宙の膨張率について簡単にイメージしてみましょう。まず、宇宙を破裂している風船だと思ってください。星と銀河は原子と粒子と仮定しましょう。宇宙の面積が拡大するにつれて分子間の距離も少しずつ離れていきます。科学者はこの分子間の距離を計算しているのです。

研究者を困らせているのは、ハッブル定数を使って計算すればするほど、計算結果が宇宙の一般的な常識から離れていくこと。公式そのものが間違っているのか、それとも宇宙の常識を覆さなければいけないのか、未だに答えは出ていません。いずれにしろ宇宙の計算は、ローンの利息を計算するよりも遥かに複雑なのですから。

ハッブル定数を用いて最初に計算をした人物

エドウィンハッブルはハッブル定数を用いて最初に計算を実行した人物です。計算結果は毎秒500キロ/Mpc。つまり地球から見える銀河は毎秒500キロ/Mpcのスピードで遠ざかっているとされました。(1Mpcは326万光年)

しかし毎秒500キロ/Mpcはその後の計算で何度も改訂されており、今では「研究の歴史」的存在で現在は67キロ〜74/Mpcであるとされています。ハッブル定数を使用する方法は2つ。1つ目は速度を使って計算する方法。2つ目は宇宙マイクロ波背景放射を使って計算する方法です。

重力と宇宙放射線の綱引き

宇宙には重力と放射線という2つの相反する力があり、それらは常に綱引きのような状態を維持しています。重力と宇宙放射線の力の違いを利用して宇宙の大きさを測る手法は「標準モデル」と呼ばれており、興味深いのは、標準モデルを用いた計算結果とハッブル定数の計算結果は異なるということ。さまざまな宇宙機関がそれぞれ別の計算結果を出しているため、結果についてはまだ議論の必要があるでしょう。それでも私たちは時間とお金をかけることで宇宙の大きさに関して、さらに真実に近づくことができると信じています。

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